教員紹介
教員インタビュー
Interview
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経済学科
研究テーマと学生へのメッセージ
田中昌宏 准教授
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経済学科
宮本ゼミの41年
宮本 昌典 准教授(2022年度末退職)
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経済学科
歴史を通して今を知る
瀬戸林 政孝 教授
教員紹介
Interview
経済学科
研究テーマと学生へのメッセージ
田中昌宏 准教授
経済学科
宮本ゼミの41年
宮本 昌典 准教授(2022年度末退職)
経済学科
歴史を通して今を知る
瀬戸林 政孝 教授
教員インタビュー
経済学科
田中昌宏 准教授
私の研究領域はデータサイエンスです。特に、大規模かつ複雑なデータ(いわゆるビッグデータ)を分析するための統計学的な手法の開発に取り組んでいます。昨今、情報通信技術の発達に伴い、入手可能なデジタル情報が爆発的に増大しています。現代では、コンビニのレジの取引記録からSNSの投稿まで、あらゆる現象が記録・収集され、分析の対象となっています。しかし、伝統的な統計学の分析手法は、こうした大規模かつ複雑なデータを想定したものではありません。そのため、現代のデータ活用のシーンに対応できるような、新しい分析手法の開発が求められているのです。私はその中でも特に、複雑なデータから因果関係を推論する方法や、大規模なデータを効率的に処理するためのアルゴリズムの開発を中心的な研究テーマとしています。
データ分析には、アートとサイエンスという二つの側面があります。データ分析のためのソフトウェアの開発が進み、サイエンスとしてのデータ分析のハードルは低くなりました。しかし、どのようにして仮説を立て、データを収集し、分析結果を他人に伝えるか・・・こうしたデータ分析のアートとしての側面は、ある種の“センス”とも呼ぶべきものであり、一朝一夕に習得できるものではありません。大学では、サイエンスとしてのデータ分析を学ぶと共に、一つでも多くの現実のデータに触れ、学友や教員と議論し、データ分析のアートを極めることに挑戦して欲しいと思っています。
(2023年4月13日公開)
教員インタビュー
経済学科
宮本 昌典 准教授(2022年度末退職)
つい昨日のような気がしますが、1982(昭和57)年4月に福岡大学に赴任しました。時は昭和、平成、令和へと流れ、あっという間に41年が経過しました。少年老いやすく学成り難し。早かったと思います。今回定年退職に際して、学部ホームページに寄稿を依頼されたので、何を書こうかと考えましたが、私の場合ゼミの指導に注力してきたので、ゼミについて書こうと思います。
現在では、初年次演習(1年ゼミ)、基礎演習(2年ゼミ)、演習(3・4年ゼミ)と全学年でゼミが開講されていますが、私の赴任当時は3・4年ゼミだけでした。その後、昭和の終わり頃に2年ゼミが追加され、1年ゼミが創設されたのは最近のことです。
私の3・4年ゼミの第1期生の学籍番号はEE80台とEI80台です。当時のカリキュラムは経済学科と産業経済学科の垣根が低くて、実質的には1学科制と言ってもよく、教員の所属学科が決まっていなかったので、どのゼミにも両学科の学生が所属していました(教員の所属学科が決まったのはコース制に移行したときです)。ゼミの第1期生は既に還暦を過ぎており、私よりも先に定年退職した人もいますが、彼等とは今でも交流が続いています。
私の3・4年ゼミでは、ゼミ開設以来(コロナの期間を除く)、3年次夏休み前のゼミ旅行と12月のインターゼミ大会(ゼミ単位で作成した共同論文を他大学のゼミと討論する大会)への出場を続けてきました。ちなみに第1期生のゼミ旅行は九重高原、インターゼミ大会は横浜の関東学院大学でした(「寝台特急あさかぜ」で横浜に行きました)。また、私のゼミでは卒業論文は4万字と定めており(経済学部の基準は2万字)、こちらもゼミ開設以来の伝統となっており、執筆中は字数が多いとの不満の声が聞こえてきますが、実際に書き終えてみると達成感、充実感があるようで、4万字の卒論を完成させてよかったというのが結論のようです。卒業前に「2年間のゼミ生活を振り返って」という題の作文を書いて貰い、「宮本ゼミ第〇期生卒業記念文集」という冊子を毎年作成しています。
2年ゼミでは日経新聞を読んでおり、その関係で毎年夏休みに福岡証券取引所と証券会社の見学をしていたのですが、2004年度から東京研修を始めました。毎年9月上旬に上京して、1泊2日の行程で東京証券取引所、日本銀行本店、日本経済新聞社、参議院の4カ所を見学するのですが、この研修旅行は好評でした。
1週間に一度ゼミ教室で顔を合わせるだけだとゼミのメンバーが親しくなりませんが、2年次から4年次までゼミを続けた人は、ゼミ在籍中に2年次の東京研修、3年次のゼミ旅行、インターゼミ大会と合計3回ゼミで旅行して、ソフトボールや飲み会もあったので、ゼミのメンバーは仲が良かったと思います。4万字の卒論作成と合わせて、ゼミライフを満喫できたのではないでしょうか。
卒業した後もゼミの交流は続くわけで、毎年11月に宮本ゼミ同窓会を開催しています。学籍番号EE・EI80台の第1期生から現役の4年生まで年齢差が40歳以上ですが、和気藹々とした和やかな会合です。ここのところコロナで集まりにくいのですが、ゼミの卒業生が、結婚、出産、活躍している様子を聞くと本当に嬉しく思います。初期の卒業生には、子女が学校を卒業、就職、結婚して孫がいる人もいます。ゼミの先輩方はゼミの後輩が可愛くてたまらないらしく、後輩の面倒をよく見てくれます。同級生同士のヨコの関係だけではなく、先輩後輩のタテの関係も大事であると思っています。
ゼミ生の皆さんと一緒に遊んだり、勉強したりの41年でしたが、ゼミでの指導を通じて思うことを記します。
「ゼミとは何か」と問われれば、私は一言でいえば「人間関係である」と答えます。人間関係という意味は、ゼミ生とゼミ生との間の信頼、教師と学生との間に信頼が成り立つということです。ゼミの中で一生の友達を見つけてほしいし、ゼミの先生とも信頼関係を築いてほしいと思います。
ゼミは基本的には勉学をする場ですが、それ以前の問題として社会常識というものが必要です。無断欠席をしない、提出物の期限を守る、嘘をつかない、人を利用しない、何かをして貰ったら礼を言うというような類のことです。お互い嘘をつかないということで信頼関係が築かれていれば、紳士協定が成り立つので、人間関係が快いものになりますが、その逆に、平素の言動から嘘をついているのではないかと疑われるようになると相手を信頼することができなくなるので、人間関係がギスギスした不快なものになります。ゼミを運営していく上で一番重要であるのはこのことであると思っており、お互いの信頼関係がなければゼミが成り立ちません。このような社会常識が備わっているかどうかは学問以前の人格の問題であるので、これを読んで思い当たることがある人はこれまでの生き方を変えてほしいと思います。
最後に、皆さんに伝えたいことを記して稿を閉じることにします。皆さんには本物の勉強をしてほしいと思っています。平素は勉強というものをしないで試験の前だけ俄か勉強して答案を書き、試験が終わった瞬間に全て忘れてしまうということであれば、単位と卒業証書を手に入れることができたとしても、大学での勉学が本当の意味で皆さんの財産にはならないでしょう。高度で難しいことは分からなくてもよいので、基本的で重要なことを的確にマスターするという勉強をしてほしいと思います。例えば、「債券価格は金利に反比例する」というのは基本的な経済法則ですが、この法則をマスターするだけで異次元金融緩和の解除が日本経済に何をもたらすかということを自分の言葉で説明できるようになります。私が本物の勉強と言うのはこういう意味です。そのためには、試験期間中以外でも帰宅後に毎日2時間程度は机に向かいその日に習ったことを復習することが必要です。卒業論文の作成は、そのような意味で、論理的な文章を読解する力、論理的な文章を構成して書く力をトレーニングするのに役立ちます。是非、本物の勉強をして下さい。
定年後も暫くは非常勤講師として経済学部の教壇に立つので、分からないことがあったら訊きに来て下さい。皆さんの経済学部での学生生活が実り多いものになることを願って已みません。
(2023年4月13日公開)
教員インタビュー
経済学科
瀬戸林 政孝 教授
私の研究分野は「経済史」です。「経済史」とは、我々が現在生活する世界がどのように形成されてきたのか、経済を通して学ぶ学問です。
例えば、我々は毎日買い物をします。その際、あまり気にすることはないですが、様々なルールがあります。買い物をする際、円以外のお金を使う人はいません。買い物では「円」を使用する。これも一つのルールです。別の事例も紹介しておきましょう。必要な商品を買ったにもかかわらず、袋の中には別の商品が入っていた、なんてことは現在の日本ではないでしょう。これは、お店の人が、商品を買った人を騙してはいけない、騙したら罰せられるというルールがあるからです。つまり、商品の買い手にも売り手にも様々なルールがあるのです。我々がこうしたルールを当たり前のように守っている理由は、我々の多くは普段あまり気にしていませんが、市場経済という経済が上手く成り立つ仕組みを受け入れて生活しているからです。そして、市場経済が成り立つために、簡単に言い換えると、我々が安心して毎日買い物をしたり、商品を売ったりするために、様々なルールが存在するのです。
しかし、市場経済や様々なルール等は、最近導入されたものではなく、非常に古くから存在し、徐々に形を変えながら発展してきたものです。そのため、現在我々の周りに当たり前のように存在する市場経済やそれを支える様々なルールを理解するためには、市場経済がどのように変化してきたのか、どのようにルールが作られてきたのかを考える必要があります。
私の研究では、19世紀から20世紀前半におけるアジア、特に、中国の市場経済がどのように形成され、そして、どのような特徴を持っていたのかを解明しています。この時代は、日本では長い江戸時代が終わり、世界との貿易が拡大する時期にあたり、欧米人だけでなく、中国人との取引も拡大していきます。しかし、国籍の異なる人達が商品の売買を行う場合、困ったことはなかったでしょうか。会話をする際に、言葉の違いはどのように克服したのでしょう。初めて出会った外国人をどのように信用して取引を始めたのでしょう。もし、取引をする相手に騙されたら、どうしたのでしょう。このような問題がどのように解決されながら、市場取引が円滑に行われるように市場経済が進展し、そして、東アジアの経済発展が進んでいったのか、日々悩んでいます。
私の問題関心に引き付けながら経済史という学問を紹介してきましたが、経済史は我々の身の回りにある様々な経済事象を学べる学問です。経済史を通して、我々を取り巻く世界がこれからどのように変わっていくのか、学生が考えるようになってくれたらいいなと思っています。
(2023年4月13日公開)