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小川一夫教授(大阪大学)と万 軍民准教授の共同論文が『季刊住宅土地経済』に掲載されました(3月22日)

2011年3月22日、大阪大学の小川一夫教授と福岡大学の万軍民准教授の共同論文「家計の負債構造と消費」は、財団法人日本住宅総合センター発行の『季刊住宅土地経済』2011年春季号に掲載されました(pp.12-22)。
 この論文の理論部分において、家計の保有する負債は、実物資産、金融資産・負債、人的資産を含めた純資産を通じて消費に影響を及ぼしますが、家計が借入制約に直面している場合には、負債残高は通常の資産効果に加えて独立した消費抑制効果を持つことが示されています。
 実証面において、総務省の『全国消費実態調査』から抽出された1989年、94年、99年の3 年分のリサンプリング・データという極めて貴重なミクロデータを用いることで、資産価格が高騰したバブル期と資産価格が暴落したバブル崩壊期というまったく異なった時期における、家計の負債が消費行動に与えるインパクトを明らかにすることができました。総消費支出関数の計測結果として、負債比率は、資産変数をコントロールしたうえでも、消費に対して有意な負の効果を持つことが示されています。
 さらに、形態別消費支出関数の計測結果では、負債比率は、「半耐久財」「非耐久財」に対して消費抑制効果があることが示されています。この研究結果は、日本バブル崩壊後約20年間の長期不況の解明および必要な対策に大きく貢献するだけでなく、今日進行中の米国金融経済危機後の長期不況の可能性の解明と対策にも代替できない貢献をするだろうと期待されています。
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以上の内容は、『季刊住宅土地経済』のエディトリアルノートから引用しました。
http://www.hrf.or.jp/web/files/keizai_80.html